チリ産の養殖サーモンが抗生物質まみれって知ってた?

健康

チリ産養殖サーモンは、世界で最も多く生産されているサーモンです。
しかし、その生産の裏には、大量の抗生物質が使用されているとうことを知っていますか?

なぜサーモンに抗生物質を使うのか?

サーモン養殖において、抗生物質を使用する理由は、大きく分けて以下の2つです。

病気の予防・治療
サーモンは、養殖環境下で病気にかかりやすい傾向があります。そのため、病気の予防や治療のために、抗生物質が使用されます。

病気の原因となる細菌やウイルスは、養殖環境の悪化や、餌の汚染などによって、サーモンに感染することがあります。抗生物質を投与することで、これらの病原菌の増殖を抑制し、病気の発生を防ぐことができます。また、すでに病気にかかっているサーモンに対しては、抗生物質を投与して治療を行います。

成長促進
抗生物質には、成長促進効果があるとされています。
そのため、成長を促進させるために、抗生物質が使用されることもあります。

抗生物質の成長促進効果は、完全には解明されていませんが、抗生物質が体内の炎症を抑制することで、成長ホルモンの分泌を促進すると考えられています。

しかし、抗生物質の使用には、以下の問題点もあります。

薬剤耐性菌の増加
抗生物質の使用により、薬剤耐性菌が増加する可能性があります。薬剤耐性菌とは、抗生物質の効果が効かない菌のことです。薬剤耐性菌が増加すると、病気の治療が困難になるだけでなく、人体への感染リスクも高まります。

環境への影響
抗生物質は、排水や廃棄物とともに環境中に放出され、環境汚染の原因になる可能性があります。

そのため、サーモン養殖においては、抗生物質の使用量を最小限に抑える努力が求められています。

抗生物質の多用がもたらすリスク

抗生物質は、細菌などの病原菌を殺す薬です。
しかし、抗生物質を過剰に使用すると、病原菌が抗生物質に耐性を示すようになります。
これを「薬剤耐性」といいます。

薬剤耐性菌は、抗生物質が効かなくなってしまうため、感染症が治りにくくなったり、重症化したりする可能性があります。
また、薬剤耐性菌が人から人へ広がると、感染症の流行を引き起こす恐れもあります。

抗生物質の使用量

国際海洋保護団体「Oceana」の調査によると、チリ産養殖サーモンの抗生物質使用量は、ノルウェー産のサーモンに比べて約5,600倍も多くなっています。
具体的には、チリ産サーモンは1tあたり950gの抗生物質を使用しています。これは、豚肉産業(172g/1t)よりもはるかに多い量です。

なお、この数字はあくまでも調査結果に基づくものであり、絶対的な数字ではありません。
また、養殖業者や地域によって、抗生物質の使用量は異なる可能性があります。

チリ産養殖サーモンの抗生物質使用量が多い理由

チリ産養殖サーモンの抗生物質使用量が多い理由は、以下の2つが挙げられます。

  • チリの養殖場は、海流が複雑で海水温が不安定です。そのため、病気の発生率が高まっています。
  • 養殖業者はコスト削減を優先し、病気予防のために抗生物質を大量に使用しています。

チリの養殖場は、海流が複雑で海水温が不安定なため、病気の発生率が高まっています。
そのため、養殖業者は病気予防のために抗生物質を大量に使用しています。
また、コスト削減を優先するあまり、抗生物質の投与量や投与期間を適切に管理できていないケースもあるようです。

国産サーモンやノルウェーサーモンの安全性

一方、国産サーモンやノルウェーサーモンの抗生物質使用量は、チリ産サーモンに比べて約10分の1です。
具体的には、国産サーモンの抗生物質使用量は、1tあたり100g程度とされています。
ノルウェー産サーモンの抗生物質使用量は、国産サーモンと同程度か、それ以下です。

国産サーモンやノルウェーサーモンの養殖場は、チリの養殖場と比べて、海流や海水温が安定しています。
そのため、病気の発生率が低く、抗生物質の使用量を抑えることができます。
また、養殖業者の意識や取り組みが向上していることも、抗生物質使用量の減少につながっています。

サーモン以外の魚の安全性

サーモン以外にも、養殖魚には抗生物質が使用されている場合があります。
例えば、養殖マグロや養殖ブリの抗生物質使用量も、チリ産サーモンと同程度か、それ以上です。
しかし、サーモンほど大量の抗生物質が使用されているケースは多くありません。

※ 近年は養殖業者の意識や取り組みの向上に加え、政府による規制の強化などもあり養殖魚の抗生物質使用量は、以前に比べ減少傾向にあります。

抗生物質の使用量を減らすための取り組み

抗生物質の使用量を減らすためには、以下の取り組みが重要です。

  • 養殖業者の意識と行動の変化
  • 政府による規制の強化
  • 第三者機関の認証制度の活用

消費者は、抗生物質使用量の少ないサーモンを選ぶことで、これらの取り組みを後押しすることができます。

ご当地サーモン(国産サーモン)について

ご当地サーモンとは、特定の地域で生産されているサーモンのことです。
日本では、近年、各地でご当地サーモンの開発・生産が盛んになっています。

ご当地サーモンの特徴としては、以下が挙げられます。

  • 地域の特色を活かした飼育方法や餌を用いている
  • 抗生物質の使用量が少ない
  • 地域の食文化や風土に合った味わい

代表的なご当地サーモン

ご当地サーモンは、いずれも地域の特色を活かした飼育方法や餌を用いて生産されており、抗生物質の使用量が少なく、安全でおいしいサーモンとして人気があります。
チリ産のサーモンなどと比較すると値段は高めですが、それに見合った美味しさと安全性があります。

佐渡サーモン(新潟県佐渡島)

佐渡島の海流や海水温が安定しており、病気の発生率が低いため、抗生物質の使用量を抑えることができます。
また、佐渡島は、海苔や昆布などの海藻類が豊富に生息しており、これらの海藻類を餌にすることで、旨味とコクのあるサーモンに育ちます。

海峡サーモン(青森県)

津軽海峡の海流が速いため、サーモンが運動量を増やし、引き締まった身に仕上がります。

奥入瀬サーモン(青森県)

奥入瀬渓流の清らかな水と、豊かな自然の中で育ちます。
抗生物質の使用量を抑えており、安全でおいしいサーモンとして人気があります。

三陸サーモン(岩手県)

三陸沖の海流が速いため、サーモンが運動量を増やし、引き締まった身に仕上がります。

飛騨サーモン(岐阜県)

飛騨山脈の雪解け水が豊富に流れ込む清流で育ちます。

鳴門サーモン(徳島県)

鳴門海峡の渦潮の影響で、サーモンが運動量を増やし、引き締まった身に仕上がります。

まとめ

チリ産養殖サーモンの抗生物質問題は、私たちの健康だけでなく環境にも影響を及ぼします。
賢い選択をすることで、より健康的でサステナブルな食生活に貢献しましょう。

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