【環境負荷】バナナがエコロジーじゃない理由

環境

バナナは安価で、おいしく、世界中で愛されている果物です。
しかし、その生産や流通には、さまざまな環境負荷が伴っています。

バナナの生産における環境負荷

森林伐採

バナナ栽培のために、熱帯雨林やサバンナなどの熱帯地域で森林伐採が行われています。
森林伐採は、地球温暖化や生物多様性の減少などの原因となります。
地球温暖化への影響としては、森林が太陽光を吸収して温室効果ガスを抑える働きをしていることから、森林伐採によって温室効果ガスの排出量が増加し、地球温暖化が加速する可能性があります。
生物多様性の減少への影響としては、森林は多くの動植物のすみかであり、森林伐採によって多くの動植物が絶滅の危機にさらされています。
また、森林伐採によって、土壌の保水力や水質が低下したり、洪水や土砂崩れのリスクが高まったりといった問題も発生しています。

土壌汚染

バナナは、肥料や農薬を大量に使用して栽培されています。
このため、土壌や水質汚染、窒素循環の乱れなどの環境問題を引き起こしています。
肥料や農薬の使用は、土壌中の微生物や動物の減少につながり、土壌の保水力や養分保持力が低下します。
また、肥料や農薬の成分が水に溶け出して、河川や湖沼に流れ込み、水質汚染を引き起こします。
さらに、肥料や農薬の使用は、窒素循環の乱れにつながり、酸性雨やオゾン層の破壊などの問題を引き起こす可能性があります。

労働問題

バナナの栽培や流通には、多くの労働力が必要ですが、バナナ産業では、低賃金や長時間労働、児童労働などの労働問題が深刻化しています。
低賃金や長時間労働は、労働者の健康や生活に悪影響を及ぼし、児童労働は、子どもの権利を侵害する行為です。

輸送距離の長さ

バナナは、輸送距離が長いため、環境負荷が大きい食材の一つです。
日本に輸入されるバナナの多くは、南米や東南アジアから空輸で運ばれてきます。
空輸は、燃料消費量が多く、CO2の排出量が多い輸送手段です。

空輸によるCO2の排出量を削減するためには、船便や鉄道などの輸送手段を活用することが考えられます。

輸送中の腐敗や損傷

バナナは、傷みやすい果物です。そのため、輸送や流通の過程で、多くのバナナが廃棄されています。
輸送中の腐敗や損傷を減らすためには、輸送方法や包装方法の改善が求められます。

食べきれないバナナの廃棄

バナナは、食べきれないバナナが捨てられることも多いです。
食品ロスは、食料の無駄遣いだけでなく、環境負荷の増大にもつながります。

食べきれないバナナを減らすためには、買いすぎや食べ残しを防ぐことが大切です。また、食べきれないバナナは、冷凍保存して、後日食べるようにしましょう。

バナナの皮の廃棄

バナナの皮は、多くの栄養素を含んでいるにもかかわらず、捨てられることがほとんどです。
バナナの皮は、肥料や飼料、バイオ燃料などに利用することができます。

バナナの皮を有効活用することで、環境負荷を減らすことができます。

バナナの環境負荷を減らす方法

地産地消を心がける

バナナは、日本でも沖縄や鹿児島などの温暖な地域で栽培されています。
地産地消を心がけることで、輸送による環境負荷を減らすことができます。

旬の食材を食べる

バナナは、夏から秋にかけてが旬です。
旬の食材を食べることによって、輸送距離を短縮し、環境負荷を減らすことができます。

食べきれる量を買う

買い物をするときは、食べきれる量だけを買うようにしましょう。
また、食べきれないバナナは、冷凍保存して、後日食べるようにしましょう。

バナナの皮を有効活用する

バナナの皮は、肥料や飼料、バイオ燃料などに利用することができます。
バナナの皮を捨てずに、有効活用しましょう。

消費者の意識を高める

消費者が、バナナの環境負荷について理解し、環境負荷を減らすための行動を起こすことも重要です。
例えば、旬の食材を食べる、食べきれる量を買うなどが挙げられます。

バナナは、おいしく栄養価の高い果物です。
しかし、その生産や流通には、さまざまな環境負荷が伴っています。
私たち一人ひとりが、環境負荷を減らすために、できることから実践していきましょう。

バナナの輸入国ランキング

令和元(2019)年の財務省貿易統計によると、日本に輸入されるバナナの輸入量は約104万5千トンでした。
その国別ランキングは、以下の通りです。

輸入量(t) シェア(%)
フィリピン 83万7千 80.0
エクアドル 11万9千 11.3
メキシコ 5万4千 5.2
コロンビア 3万2千 3.1
ドミニカ共和国 2万9千 2.8
スリランカ 2万7千 2.6
ベトナム 1万3千 1.3
その他 2万1千 2.0

上位5カ国で全体の98.6%を占めています。
フィリピンが圧倒的なシェアを誇っており、次いでエクアドル、メキシコと続きます。

バナナの輸送方法とその仕組み、問題点

日本では、バナナは最も消費される果物です。
しかし、バナナは熱帯地域で栽培され、日本に運ばれるまでに多くの工程を経ます。この記事では、バナナの輸送方法とその仕組み、問題点について紹介します。

バナナの輸送方法には主に船便が用いられています。空輸は比較的少なく、主に特定の状況でのみ利用されます。

船便

  • メリット:CO2の排出量が少なく、輸送時間が長くてもバナナの熟度を保つことができる。輸送量が安い。
  • デメリット:輸送時間が長い。

空輸(限定的に使用)

  • メリット:輸送時間が短い。
  • デメリット:CO2の排出量が多い。輸送量が高い。

日本に輸入されるバナナの大部分は船便で運ばれ、特にフィリピンからの輸入が主流です。
フィリピンを出航してから日本に到着するまで約5日間かかります。
船便ではバナナは13.5℃〜13.8℃で保持され、休眠状態になり、鮮度が保たれます。
バナナは温度に敏感なため、この温度管理が重要です。
これに対して、空輸はより速い輸送を可能にしますが、CO2排出量が多く、環境への負荷が大きいため、限定的に使用されます。

バナナの追熟とその仕組み

日本では、熟した黄色いバナナの輸入は、植物防疫法により禁止されています。
これは、熟したバナナには日本の農作物に被害を及ぼす可能性のある害虫が寄生している恐れがあるためです。
そのため、日本に着いた時はまだ緑色で、食べられる状態になっていません。

日本で食べごろの黄色いバナナにするためには、温度・湿度が管理された室(むろ)で追熟させる必要があります。

追熟とは、温度・湿度・エチレンガスなどを調整して、バナナの熟度を均一にすることです。
エチレンガスは、バナナの熟成を促進する効果があります。
この追熟技術により、スーパーで見かけるバナナが常に黄色く、食べごろな状態で並んでいるのです。

エチレンガスによる環境負荷

バナナの追熟に使われるエチレンガスは、天然ガスや石油などの化石燃料から製造されています。
そのため、エチレンガスの使用は、地球温暖化や大気汚染などの環境問題につながる可能性があります。

また、エチレンガスは、バナナの追熟だけでなく、食品の鮮度保持や、果物の色づけなどにも使用されています。
そのため、エチレンガスの使用量は、今後も増加していくと考えられます。

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